四竜帝の大陸【青の大陸編】
「さっさと行こうぜ、ヴェル。おちびが呼んでんだろう? よしっ! 鬼サド男の嫁になっちまったおちびの愚痴を、俺様が聞いてやろうじゃないか!」

我に頭頂部と両足首を掴まれた状態のまま、<青>は妙に晴れやかな笑顔を浮かべて言った。

「きっと、おちびはヴェルのドSで鬼畜なエロ行為に驚き、“竜族の雄ってこんななの!?”とか不安になっちまったんだろう! 竜族の雄の名誉のためにも、そんなのはヴェルだけだってことをこの俺様が説明……」
「違う。カイユが産気づいたのだ。雄しか孕んでいなかった事が分かりダルフェが使い物にならんので、りこはお前を使うのではないか? 我と交尾後の艶やかなりこを、雄竜であるお前に見せるのは非常に気に入らんが……りこのお願いには、我は逆らえんからな」
「え? カイユが!?」

笑顔が消え、困惑気味に青い眼が我を見た。

「え? ちょっと待て! ダルフェの……<色持ち>の子は双子のはずだろうがっ!」

ダルフェの子は双子。
雄と雌。
誰もが、そう思っていた。

「今回は双子でなかったようだな。そんなことより……我はカイユをりこの<母親>として、黒の大陸にも同行させる。手続きをしておけ<青の竜帝>よ」

この城の、この大陸……世界中の竜族がそう思っていた。
カイユの周り全てが、双子だと決め付けていた。

母体であるカイユと、異界人であるりこ以外は。

「母親? な……なに言ってんだよ? それに雄だけって!? 双子ができるから、<色持ち>の寿命は……どうしてだよっ、そんな! なぁ、教えてくれよっ、ヴェル!」
「さあ。我は知らぬな」

双子であるべきは胎の子は、雄しかおらず。
体と心に開いた穴を、カイユはりこで埋めた。

<色持ち>のダルフェは数十年で死に、カイユと子は残る。

それだけのことだ。

「知る必要も、興味も無い」

我は忙しい。
いろいろ、途中なのだ。

菓子でのあ~んが途中であるし。

何より……りこの身体が【途中】なのだ。

りことしては力を込めて、我をクッションで叩いたのだろうが。
あれでは羽虫も殺せまい。
そよ風のようで、心地よいほどだった。

今回も。
肉体強化は、うまくいかなかった。

やる気など。
やはり、当てにならん。

やる気だけでは、竜体で交尾することもできぬしな。

「カイユの子は我が貰う。雄というのが、気に入らんがな」

ラパンの花が咲いたら、この大陸を出よう。

我と、りこ。
そして。

りこの竜騎士達と共に。







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