四竜帝の大陸【青の大陸編】
ハクちゃんは一言も、私に不満を言わない。 
竜族同士の蜜月期のように、日に何度も愛し合えないのに。
私は人間だから、竜族の女性と同じような蜜月期を要求したら身体が壊れちゃう……支店の時みたいになってしまう可能性があるから、ハクちゃんは絶対にそうはしない。
だから安心していいって、カイユさんは教えてくれた。

私は安心・安全。
爪を気にして自分からは私に触れられなかったあの頃と……貴方が竜体だけで暮らしていた時と同じ。
ハクちゃんは<蜜月期の雄竜>である自分自身から、人間の私を護ってくれてる……。
優しい貴方は何も言わない……言ってくれないけれど。
 
ねぇ、ハクちゃんは?
ハクちゃんは、本当は……どう思ってるの?

今回のカイユさんのことで……個体数の少ない竜族にとって【一族の子供】は、とても重要視される問題だって知った。
ハクちゃんが子供について私に何も言わないのは、人間の私に気を使ってくれてるのかもしれない。
子供……ハクちゃんと、私の赤ちゃん。
竜族のハクちゃんとの子供ならきっと、人間の私より長生きしてくれるはずだ。
妻の私がいなくなっても、ハクちゃんに【家族】を残してあげられる。
何も持っていない私が、唯一……貴方にしてあげられること。

ハクちゃん。
私、欲しい。
このお腹に、貴方の赤ちゃんが。

私、早く貴方の子供が産みたい。
貴方と家族を作って、家庭を持って……。
 
貴方に【家族】を。
人間の私は、貴方とずっと一緒にいられないから。
私は貴方と、私達の子供と過ごせる時間が……少しでも長く【家族】で過ごしたい。

あっ……私。
この世界に来てから、生理が止まってるんだった。
婦人科のお医者様に看てもらうべきなの?
でも。
まだ生理不順ってレベルだよね?
う~ん。
カイユさんがお産から帰ってきたら、相談してみよう。
 
 


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