四竜帝の大陸【青の大陸編】

75~Halloween~

私は毎日、お城の食堂に行っている。
食堂は西棟にあり、お城で働いている人達の社員食堂的な施設で24時間開いていた。
しかも食べ放題で、無料……社長、ありがとう!

ここのお城は<王様の家>では無かった。
竜帝さんの経営する会社の本社兼、社員寮。
竜族の役所も兼ねていた。
見た目はお城だけど、実際はずいぶんと現実的な場所だった。
まあ、その方が馴染みやすい気も……晩餐会とか舞踏会とかあったら、かえってひいたと思うしね。

昼食・夕食は食堂からテイクアウトし、居住区で食べている。
夕食後に食器を返却に行った時に、翌日の朝食用のパン他をいただく。
前触れも無く転移で現れる私とハクちゃんに、少々おっかなびっくりしていた厨房の人達も最近はすっかり慣れてくれていた。
竜帝さんが厨房の責任者の方と話し合って、私が食事を取りに行く時間をきちんと決めてくれた。

指定された時間に、ハクちゃんが術式で連れて行ってくれている。
ハクちゃんが現れる時間が分かっているので、厨房の男陣はさりげな~く下がってくれているのだ。
そして、昨日。
厨房の隅にごろごろと置かれた‘あれ’を発見したのだ。
 
オレンジ色の大きなかぼちゃ。
 
スイカ程の大きさの、鮮やかなオレンジ色をしたかぼちゃだった。
帝都は秋。
秋といえば。
近年、お菓子メーカーも力を入れてきたからすっかり日本でも定着しつつあるイベント。
そう、ハロウィンです!
このかぼちゃはハロウィンのジャック・オー・ランタンに、ぴったりだと思った。

かぼちゃを凝視する私の視線に気づいた厨房職員の方が、1個あげるわよと言って下さり……。
私はお礼を言って、ずうずうしくも1番大きなかぼちゃをいただいてきた。
私が選んだ大きなかぼちゃをハクちゃんが抱え……かぼちゃを抱っこするハクちゃんから、厨房の皆様がささっと目を逸らしたのはなんでだろうか?
 
私がかぼちゃをルンルンで貰っていったことは竜帝さんにすぐに報告されたようで、私1人では食べきれない大きなかぼちゃをどうするんだと、女神様は南棟に現れた。
 竜帝さんの怪我はすっかり治ったようで、5日前には包帯も全部とれていた。
露わになった指を飾る爪は、髪と同じ綺麗な青色だった。
ハクちゃんも爪と髪は同じ色だけど、カイユさん達の爪は私と変わらなかった。
四竜帝とハクちゃんが特別なのかな?
 
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