四竜帝の大陸【青の大陸編】
「よいしょっと……」

 池の淵にバケツを移動し、腕まくりをしてからスコップを手に取った。
 え~っと、ナマリーナ嬢は……底にいる。
 金魚と違って動きが無いなぁ。
 夜行性だから?
 ま、とりあえずこの竜帝さん特製スペシャルご飯を……。

「く、くさ……とうっ!」

 竜帝さんの指示に従い、スコップ山盛り4杯を池に投入した。
 ナマリーナ嬢がちゃんと食べてくれるか気になって、池を覗き込んだ。
 あれ?
 無反応?

「ナマリーナ! ご飯だよ~。食べなよ、おいしいよ……多分」


 身を乗り出し、水面すれすれで声をかけた私に悲劇が起こったのは数秒後。


「きゃあっ!?」
「りっ……!」


 いきなり浮上したナマリーナ嬢が、水面にぷかぷか浮いていた餌に激しくアタックしたのだ。
 全身で水をはね上げ、がつがつと餌を食べ始めた。
 私はその水しぶきをまともにかぶってしまい……。

 顔に、水以外のぺたりとした感触が……ひぃぃ~!!


 顔も髪も……上半身がびしょぬれ、しかもあの激クサ飼料まみれになってしまい。

「うぅ……ひどいよ、ナマリーナ」
「り、りこが! 我のりこがぁああ~! なまっ、なっままま!?」

 私以上にハクちゃんがびっくりしたようで、びちゃびちゃでクサクサの私を抱えて、お風呂に転移してくれたものの、湯船に直接転移してしまい……。
 
 上半身どころか全身びしょぬれになってしまった。

 ナマリーナを殺すだなんだと物騒な事を言うハクちゃんをなだめつつ。
 ふと、気がついた。

 鯰の餌やりは。
 スコップじゃなくて、柄杓にすべきなんじゃ……。

 明日、社長に進言することにした私だった。

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