四竜帝の大陸【青の大陸編】
ちょっと……だいぶ遅れて踊りだした私とハクちゃんだったけれど、数分で皆の動きにうまく混ざれた。
ハクの大きな手が、私をしっかりと導いてくれていた。

温室での練習とこうも違うのは、お互いの気持ちのせいかな?
かっちんこっちんは半分の‘かっちん‘程度か、それ以下になったと思う。
私達はカイユさんとダルフェさんのような、優雅なダンスは踊れていない。

上手に踊れなくても、間違っても。
こうして貴方と踊れることが、嬉しくて……幸せで。
上手に踊れなくても、こんなに心が弾んでる。

ダンスが、好きになった。
ハクちゃんもきっと、踊ることが好きになったはずだ。
私に向けられる彼の金の眼は、穏やかで優しい色をしている……2人きりでいる時みたいに。
 
私達は無事に1曲を踊りきった。
あっという間だった。
 
<花鎖>は切れなかった。
調子にのって、それから3曲も踊ったのに切れなかった。

私にも周囲を少し見る余裕が出てきた。
さっき竜帝さんがバイロイトさんを発見したってことは、シスリアさん……彼女も居るはず。
シスリアさん達、どこにいるのかな?

ちらちらと周りを見てみたものの。
2メートル級の竜族のつがいの皆さんが視界を遮る壁になり、私にはわからなかった。

「残念、見えないや……きゃ!」
ふわりと抱えられて、視界が高くなった。

「どうだ、見えるか?」

ハクちゃんのこういう所、すごいと思う。
私の顔の……眼の動きで、察して行動してくれる。
つまり。
彼はいつも私を見ていてくれるって証拠で……。

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