四竜帝の大陸【青の大陸編】
「もう話していいか? 飯食いながら話そうかと思ってたんだけどよ……カイユ達はダルドを迎えにシャイタンに行ったんだ。あの2人が城から出てる間はセレスティスが竜騎士達を仕切ってるから、ダルド達が滞在中の警備のこととか打ち合わせしてたんだよ。おちびが来る前に終わらせるつもりだったんだがな、ちょっと揉めて長くなっちまった」

ダルド……セイフォンのダルド殿下?
彼がこ、ここに来るの?
初耳なんですがっ!?
 
「セシーと宮廷術士が一緒なんだが……道中ちょっと色々あって、セシーが怪我をしたって連絡が入ったんだ。あれに怪我をさせるような連中が相手のようだから、カイユとダルフェをやった」

セシーさんが怪我!?
宮廷術士って……ミー・メイちゃんも一緒ってこと?

「あのセシーさんが怪我したなんてっ! まさか……カイユ達、危険なお仕事に行ったの!?」

壁に叩き付けられても、なんともなかったあの人が怪我するなんて。
連中って、何?
何があったの……どうしてそんなにまでして、帝都にダルド殿下達は来るの!?

「心配いらねぇ、あの2人が揃えば勝てる人間なんていねえって。明日の昼頃には、城にダルド達を連れて帰ってこれるはずだ……よし、今夜はあいつの好きな菓子を作るとすっかな~」
「りゅ、竜帝さん! ダルド殿下達はどうして帝都に……」
「ん? 3年に1回は来るんだ。ダルドは餓鬼の頃、俺が面倒見てたんだよ。セシー達はあいつの護衛でついてきたんだが……あいつ等の今回の最大の目的は、おちびへの謁見だな」

竜帝さんの顔つきが変わった。

「<監視者>のつがいの後見人として、セイフォンの皇太子には貴女に会う権利がある」

深い青の眼から、感情が消えた。
これは……感情を消した‘表情’が無い顔は。

ハクと。
<ヴェルヴァイド>と同じ。
竜帝さんは、<青の竜帝>として私に言ったんだ。

「……はい。ダルド殿下に会います」

ハクちゃんと繋いだ手に、意識する前に力が入った。
< 537 / 807 >

この作品をシェア

pagetop