四竜帝の大陸【青の大陸編】
なあ、バイロイト。
てめぇ、どうやってシャゼリズ・ゾペロを見つけたんだ?
ねえ、陛下。
あんた、どうしてシャゼリズ・ゾペロを生かしとく?

さっさと締め上げちまえばいいのに。
泳がすなんざ、まどろっこしい。

「<青の竜帝>はなんだってこう、甘ちゃんなんだろうねぇ? 短気なあんただったら、俺と同じ手を使うだろうなぁ……<赤の竜帝>さん」

やっぱり、俺は母さんの子供なんだな。
陛下みたいに、待てないし。
カイユみたいに、優しくないから。

楽に殺してやるのは、得意じゃない。

「おい、術士殿。なんで俺が刀じゃなく、細剣使ってるか教えてやるよ」

刀は斬れ過ぎる。
それじゃぁ、面白くないんだよ。
俺にはこれが、丁度良い。

「俺、母親に似て器用なんだ」

なあ、陛下。
あんたが大好きな<ヴェル>は、俺に言わせりゃドSなんかじゃないんだけどねぇ?

旦那は他人を傷つけることに、抵抗感なんか少しも持ってない。
何も感じていないんだ。

何も感じない……あの人、ちっとも愉しんでないんだよ。

俺は違う。

「くくっ……俺は料理と裁縫が、得意なんだぜ?」 

刃物も、針も。
斬るのも、刺すのも。

俺、大好きなんだよなぁ。

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