四竜帝の大陸【青の大陸編】
小竜のハクちゃんは、人型の時以上に私の心の動きに敏感。
竜体だと念話が使えるから、よけいに……。
私の感情が無意識に彼へと流れてしまい、彼はそれを感じとっちゃうみたい。
「あ……そうだ! 私、セレスティスさんに会ったのよ!?」
昨日、お土産を持ってきてくれた時は言い出せる雰囲気じゃなかった。
ちょっと話題を変えたかったし、私は竜帝さんの執務室でセレスティスさんに偶然会った話をした。
「絵本に出てくる王子様みたいで、とても素敵な人ね!」
あの首ちょんぱ発言については、黙っていよう。
「父は貴女と……ヴェルヴァイド様の前でも‘王子様’だったんですね?」
髪を拭いていた手が、止まった。
タオルをドレッサーに置いてから、カイユさんは膝を床について私と視線を鏡越しに合わせた。
「私が貴女に会わせるのを許さなかったと、父は言いましたか?」
「え? はい、そっくりだから照れてるんだろうって言っ……」
私の言葉を遮るように。
「違います。父を失いたくなかったからです」
カイユさんは言った。
「カイユ……」
やっぱり。
うん、そうだよね。
ハクちゃんは優しい。
私の言葉をそのまま受け取ってしまうほど、素直な心を持っている人。
小さな子供のように、床でころころを楽しんだりする無邪気な人。
でも、とても……とても怖い部分も持っている人だから。
竜体だと念話が使えるから、よけいに……。
私の感情が無意識に彼へと流れてしまい、彼はそれを感じとっちゃうみたい。
「あ……そうだ! 私、セレスティスさんに会ったのよ!?」
昨日、お土産を持ってきてくれた時は言い出せる雰囲気じゃなかった。
ちょっと話題を変えたかったし、私は竜帝さんの執務室でセレスティスさんに偶然会った話をした。
「絵本に出てくる王子様みたいで、とても素敵な人ね!」
あの首ちょんぱ発言については、黙っていよう。
「父は貴女と……ヴェルヴァイド様の前でも‘王子様’だったんですね?」
髪を拭いていた手が、止まった。
タオルをドレッサーに置いてから、カイユさんは膝を床について私と視線を鏡越しに合わせた。
「私が貴女に会わせるのを許さなかったと、父は言いましたか?」
「え? はい、そっくりだから照れてるんだろうって言っ……」
私の言葉を遮るように。
「違います。父を失いたくなかったからです」
カイユさんは言った。
「カイユ……」
やっぱり。
うん、そうだよね。
ハクちゃんは優しい。
私の言葉をそのまま受け取ってしまうほど、素直な心を持っている人。
小さな子供のように、床でころころを楽しんだりする無邪気な人。
でも、とても……とても怖い部分も持っている人だから。