四竜帝の大陸【青の大陸編】
南棟に来る前にジリ君と食事を済ませたからと、カイユさんは私が朝食をとっている間に衣装室で今日の勝負服(?)を選んでくれた。
彼女が衣装室から抱えてきたドレスは、白いドレスだった。
光沢のある白地に、袖と襟に金糸の細かな刺繍。
長い裾には無数の小さな真珠が縫い付けられていた。
うわわわ~、ちょっと豪華過ぎるのでは?
そう思ったのが、顔にばっちり出てしまったみたいだった。
そんな私にカイユさんは、にっこりと微笑みながら言った。
「ここはセイフォンなどという田舎の弱小国とは全てが違うのだと、あの皇太子に思い知らせてやるのです。ふふっ……この居住区もあの温室も衣装も、陛下がトリィ様の為に揃えたものです。セイフォン側で用意された生活環境などとは、比べるまでもありません。トリィもそう思うでしょう?」
カイユさんの言葉に、私はなんと答えてよいか迷い……曖昧な返事で誤魔化してしまった。
セイフォンでの暮らしも、私がダルド殿下に要求した以上のものだった。
セシーさんも良くしてくれた。
それはハクちゃんという存在が影響していることを差し引いても、十分すぎるものだった。
でも、それを彼女に……今の‘状態’の彼女に言うべきじゃないと思った。
食後に手早く入浴を済ませた私を寝室にあるドレッサーの前に座らせ、カイユさんは丁寧に髪を拭いてくれた。
「カイユ……」
さっき、またトリィ様とトリィが混ざっていた。
カイユさんの中で。
私は異界人で<監視者>のつがいの『トリィ様』であり、異界から帰ってきた『トリィ』という娘(こども)でもある。
「……うん、カイユ」
膝にいるハクちゃんのお腹を撫でた。
お腹を撫でる私の手の甲に、小さな手がそっと重なった。
彼女が衣装室から抱えてきたドレスは、白いドレスだった。
光沢のある白地に、袖と襟に金糸の細かな刺繍。
長い裾には無数の小さな真珠が縫い付けられていた。
うわわわ~、ちょっと豪華過ぎるのでは?
そう思ったのが、顔にばっちり出てしまったみたいだった。
そんな私にカイユさんは、にっこりと微笑みながら言った。
「ここはセイフォンなどという田舎の弱小国とは全てが違うのだと、あの皇太子に思い知らせてやるのです。ふふっ……この居住区もあの温室も衣装も、陛下がトリィ様の為に揃えたものです。セイフォン側で用意された生活環境などとは、比べるまでもありません。トリィもそう思うでしょう?」
カイユさんの言葉に、私はなんと答えてよいか迷い……曖昧な返事で誤魔化してしまった。
セイフォンでの暮らしも、私がダルド殿下に要求した以上のものだった。
セシーさんも良くしてくれた。
それはハクちゃんという存在が影響していることを差し引いても、十分すぎるものだった。
でも、それを彼女に……今の‘状態’の彼女に言うべきじゃないと思った。
食後に手早く入浴を済ませた私を寝室にあるドレッサーの前に座らせ、カイユさんは丁寧に髪を拭いてくれた。
「カイユ……」
さっき、またトリィ様とトリィが混ざっていた。
カイユさんの中で。
私は異界人で<監視者>のつがいの『トリィ様』であり、異界から帰ってきた『トリィ』という娘(こども)でもある。
「……うん、カイユ」
膝にいるハクちゃんのお腹を撫でた。
お腹を撫でる私の手の甲に、小さな手がそっと重なった。