四竜帝の大陸【青の大陸編】

94

ゆっくりと唇が離れ。

「……ぁ」
「りこ?」

ハクちゃんの声で。
無意識に、名残惜しげに温かな舌を追ってしまった自分に気づいた。

そんな私を首をかしげて見つめるハクちゃんの金の眼から、あわてて視線をそらした。

「ふむ、なるほど。りこの気持ちが、我には分ったのだ」

私の、気持ち?
私の……。

――――もうちょっとだけ、キスしていたかったな……。

う……うきゃあっ!?
ひぃい~! 言わないでぇえ~!!

「足りなかったのだろう?」
「っ!?」

ぎゃぁああ~っ!
ばれてる?
ばれちゃってるの!?

「ちちち、ちがっ……!」

ハクちゃんは真珠色の前髪をかき上げ、金の眼を細めた。

「我のりこは恥ずかしがりやさんだからな」
「は、恥ずかしがりやさん?」

私が?

「うむ、りこはかなりの恥ずかしがりやさんなのだ」
「……」

そんなこと無いと思うなぁ~。
う~、ま、まあ。
 
人前で今みたいなキスはちょっと、かなり困るけど……。
困るんだけど。

嫌じゃないから、さらに困ってしまうのです。
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