四竜帝の大陸【青の大陸編】
そんな私に、ハクは……。

「書いてあったのだ」
「は?」

文庫本を掴むと表紙を私に向け、嫌味なほど長い足を組み直しながら言った。

「りこ。この書物によると、人間の女は頭部を強打すると愛する男を忘れるらしいのだ」
「頭部? この本って……『迷走の愛・記憶の金砂 第1巻』?」

これって、ロマンス小説?
 
「この本の女は転んで頭部を強打し、将来を誓い合った男を忘れる。そして別の男に言い寄られ、その男と郊外の別荘で交尾寸前の状況となる。だからりこも転んではいかんのだ」
 
ダルフェさん。
昼メロ系はやめましょうよ!

「……う……うん。でも、あのねハクちゃん」

恐ろしいことに、ハクちゃんの脳は実際あったことの記録として読んでますよ!?

「それは物語といいますか、作り話だよ?」
「ぬっ!?」

ハクちゃんのつり眼がさらにつり上がったけれど、気づかなかったことにした。

 

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