四竜帝の大陸【青の大陸編】
執務室へと続く回廊には全くひと気が無かった。
誰もいないのを幸いに、遠慮無く周囲を見回した。
聞こえるのは自分の足音と、外で鳴く鳥の声。
アーチ型の高い天井やそれを支える円柱が整然と立ち並ぶここは、ヨーロッパの古城とイスラムの建築様式が混じったようだっだ。
「カイユ、執務室までそれを持って行くの?」
ずっと気になっていたけれど。
カイユさんは左手に刀を持っていた。
ミー・メイちゃんとセシーさんに会いに行くのに、武器持参というのは……でも、はっきりとは言い難い。
カイユさんはお母さんの事があるから、どうしても過敏になっちゃうのかもしれない。
「トリィ様」
私の視線に気づいたカイユさんは、足を止めた。
「どうぞ」
いったん私の手を離し、そこに刀をのせてくれた。
「わわっ!?」
それは想像以上に重たくて、急いで両手で持ち直した。
「すごく重い……とても、綺麗。まるで美術品みたい」
朱色の鞘に、優美な柄。
細かな装飾が施された鍔には、真っ赤な宝石が4箇所に埋め込まれていた。
すごい……なんて濃く、深い赤色。
これって、もしかしてピジョン・ブラッド!?
たまたま入ったジュエリーショップで見たときは、あまりの高額に即効あきらめました。
「ええ。これは特別な物ですから……。この刀は結婚祝いに、赤の竜帝陛下が下さったんです」
結婚のお祝いに、刃物。
日本では縁が切れるってことを刃物は連想させるから、結婚のお祝いでは避けるんだけど。
竜族の社会は違うんだ……お祝いの品も実用本位OK?
う~ん、刀が実用っていうのもなんでございますが。
誰もいないのを幸いに、遠慮無く周囲を見回した。
聞こえるのは自分の足音と、外で鳴く鳥の声。
アーチ型の高い天井やそれを支える円柱が整然と立ち並ぶここは、ヨーロッパの古城とイスラムの建築様式が混じったようだっだ。
「カイユ、執務室までそれを持って行くの?」
ずっと気になっていたけれど。
カイユさんは左手に刀を持っていた。
ミー・メイちゃんとセシーさんに会いに行くのに、武器持参というのは……でも、はっきりとは言い難い。
カイユさんはお母さんの事があるから、どうしても過敏になっちゃうのかもしれない。
「トリィ様」
私の視線に気づいたカイユさんは、足を止めた。
「どうぞ」
いったん私の手を離し、そこに刀をのせてくれた。
「わわっ!?」
それは想像以上に重たくて、急いで両手で持ち直した。
「すごく重い……とても、綺麗。まるで美術品みたい」
朱色の鞘に、優美な柄。
細かな装飾が施された鍔には、真っ赤な宝石が4箇所に埋め込まれていた。
すごい……なんて濃く、深い赤色。
これって、もしかしてピジョン・ブラッド!?
たまたま入ったジュエリーショップで見たときは、あまりの高額に即効あきらめました。
「ええ。これは特別な物ですから……。この刀は結婚祝いに、赤の竜帝陛下が下さったんです」
結婚のお祝いに、刃物。
日本では縁が切れるってことを刃物は連想させるから、結婚のお祝いでは避けるんだけど。
竜族の社会は違うんだ……お祝いの品も実用本位OK?
う~ん、刀が実用っていうのもなんでございますが。