四竜帝の大陸【青の大陸編】
任せとけと言いながら、それを竜帝さんは望んでいないのだと感じた。

左右に揺れている尾が。
彼の本心を表すかのように下向きで、動きが緩慢だったから。

「ありがとうございます、陛下。……トリィ様」

セシーさんは姿勢を低く這うようにして、ソファーから降りてた。
私の正面の床へとよろめきながら移動し、膝を着いた。

「トリィ様、私が未熟ゆえこのようなことに……如何様にも罰してくださいますよう、お願い申し上げます」

魔女は記憶を継ぐ。

「罰するなんて……足が悪化してしまいます。ソファーか車椅子に座ってください」
「ですがトリィ様、私はっ」
「じゃあ、一つだけ質問に答えてくれますか?」

それは。
それはなんて、残酷な事なのだろう。 

「好きなんですか?」
「え?」
「おちび?」

記憶が移るってことは、想いも引き継ぐの?
そうだとしたら。

「セシーさんも、ハクが……ヴェルヴァイドを愛しているの?」

ハクを。

セシーさんも、ハクを。

「あの人を、愛し……」
「まさかっ! 有り得ません!」

間髪入れず否定の言葉がかえってきた。
そのすばやい反応と強い口調が、私の考えが間違っていたことを教えてくれた。

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