四竜帝の大陸【青の大陸編】
「トリィ様」
後ろからかけられた声に振り向くと。
こわばった表情を浮かべる紫の瞳の美少女がいた。
「ミー・メイちゃん」
彼女の衣装は温室で会った時と同じだった。
てるてる坊主のような、地味な灰色の長衣。
セイフォンの王宮術士である彼女の正装。
「ミー・メイちゃん。2人で話したいってことは、ハ……<監視者>に聞かれたくない話なんでしょう? そこのガゼボにベンチがあるから、座って……ミー・メイちゃん?」
私はミー・メイちゃんをガゼボへと誘ったけれど、彼女は首を左右に動かした。
「私が竜帝陛下より与えられた時間は、そう長くはありません。申し訳ございませんが、このままで……トリィ様、私はトリィ様にお聞きしたいことがありました」
ミー・メイちゃんは胸の上で左手で右手を握り、目を閉じてから大きく息を吸い込んだ。
ぐっと何かを飲み込むように咽喉を鳴らし、ゆっくりと目を開けて視線を私へと向けた。
その瞳には、強さがあった。
「トリィ様は本心では、<監視者>から逃れたいとお思いなのではありませんか?」
思ってもみなかった言葉に、私は驚きと戸惑いを感じて紫の瞳を見返した。
私の表情から嘘と真実を見極めようとしている必死さが、瞬きすら惜しげに私を見つめる彼女から伝わってくる。
「思わない、逃れたいなんて……あの人と結婚したって、私は温室で言ったでしょう?」
そう答えた私を見るミー・メイちゃんの顔付が変化した。
悲しげな……哀れみさえ含んだその眼差し。
「トリィ様が感じられている感情は、異界から落とされた恐怖心や孤独感による……保身のために生まれたまやかしの愛情のように、私には感じられます。でなければ、あのような恐ろしい者の妻になど……」
「……保身のための、まやかしの愛情? そんなこと、そんな……」
彼女の言葉は私の心臓を内側から掴み上げ、きりきりと締め上げた。
後ろからかけられた声に振り向くと。
こわばった表情を浮かべる紫の瞳の美少女がいた。
「ミー・メイちゃん」
彼女の衣装は温室で会った時と同じだった。
てるてる坊主のような、地味な灰色の長衣。
セイフォンの王宮術士である彼女の正装。
「ミー・メイちゃん。2人で話したいってことは、ハ……<監視者>に聞かれたくない話なんでしょう? そこのガゼボにベンチがあるから、座って……ミー・メイちゃん?」
私はミー・メイちゃんをガゼボへと誘ったけれど、彼女は首を左右に動かした。
「私が竜帝陛下より与えられた時間は、そう長くはありません。申し訳ございませんが、このままで……トリィ様、私はトリィ様にお聞きしたいことがありました」
ミー・メイちゃんは胸の上で左手で右手を握り、目を閉じてから大きく息を吸い込んだ。
ぐっと何かを飲み込むように咽喉を鳴らし、ゆっくりと目を開けて視線を私へと向けた。
その瞳には、強さがあった。
「トリィ様は本心では、<監視者>から逃れたいとお思いなのではありませんか?」
思ってもみなかった言葉に、私は驚きと戸惑いを感じて紫の瞳を見返した。
私の表情から嘘と真実を見極めようとしている必死さが、瞬きすら惜しげに私を見つめる彼女から伝わってくる。
「思わない、逃れたいなんて……あの人と結婚したって、私は温室で言ったでしょう?」
そう答えた私を見るミー・メイちゃんの顔付が変化した。
悲しげな……哀れみさえ含んだその眼差し。
「トリィ様が感じられている感情は、異界から落とされた恐怖心や孤独感による……保身のために生まれたまやかしの愛情のように、私には感じられます。でなければ、あのような恐ろしい者の妻になど……」
「……保身のための、まやかしの愛情? そんなこと、そんな……」
彼女の言葉は私の心臓を内側から掴み上げ、きりきりと締め上げた。