四竜帝の大陸【青の大陸編】
さすがにまずいでしょうと焦っていた私に、彼女はどこからか出した羽毛に飾られた扇子で口元を隠しながら言った。
「よろしいのです。わたくしが用があるのは<監視者>様ではなく、貴女ですから」
「え? 私ですか?」
「わたくし、異界の品を手に入れたんですが何に使うものか分からなくて……貴女、異界人なのでしょう? 見ていただけないかしら?」
聞き返した私を閉じた扇で指して。
そう、言った。
身に着けているものからも、身分の高い人なんだろうなとは思ってたけれど。
でもその動作、ちょっと失礼なんじゃ……。
「わたくし、急ぎますの。明後日には帰国しなくてはなりませんから……そうですわね、明日午後が良いでしょう。明日の午後2時に、竜帝陛下の城にお伺いしますわ。よろしいわよね?」
ああ、でも。
しょうがないよね。
ここは日本じゃないんだから、見るからに貴族のお姫様なこの人から見れば私なんて……あれ?
この人、知ってる?
私が異世界人だって言ったんだもの!
竜帝さんのお城に居させてもらってることも、知ってる……。
つまり、この人は私がハクちゃんの、<監視者>のつがいになった人間だって知ってるんだ!
明日の午後にお城に!?
人型のハクちゃんを<監視者>って言ったし、私の事も知ってるなんて……この人、普通の人じゃない。
改めて会うなら、カイユさんや竜帝さん達に相談すべき相手なんじゃないの!?
「え、あのっ! 明日って!? そんな急に言われても無理で……」
「では明日」
私なりに必死で考えた結果、とりあえず明日は断ろうとしたのに。
「え!? ちょっと、待っ……転移!?」
美女は、消えた。
私の答えを聞かずに、居なくなった。
転移したってことは、彼女は術士。
多分、貴族。
そして、術士。
あの人は私を知っていたけれど。
当然ながら、私はあの人を知らない。
……あの人、名乗らなかった。
鈍い私だって、さすがに分かる。
うっかりなんて有り得ない。
絶対、意識的に名前を言わなかったんだ。
自分の名前も、自分が誰であるかも。
ハクちゃんが知ってるから。
だから、言わなかった。
「よろしいのです。わたくしが用があるのは<監視者>様ではなく、貴女ですから」
「え? 私ですか?」
「わたくし、異界の品を手に入れたんですが何に使うものか分からなくて……貴女、異界人なのでしょう? 見ていただけないかしら?」
聞き返した私を閉じた扇で指して。
そう、言った。
身に着けているものからも、身分の高い人なんだろうなとは思ってたけれど。
でもその動作、ちょっと失礼なんじゃ……。
「わたくし、急ぎますの。明後日には帰国しなくてはなりませんから……そうですわね、明日午後が良いでしょう。明日の午後2時に、竜帝陛下の城にお伺いしますわ。よろしいわよね?」
ああ、でも。
しょうがないよね。
ここは日本じゃないんだから、見るからに貴族のお姫様なこの人から見れば私なんて……あれ?
この人、知ってる?
私が異世界人だって言ったんだもの!
竜帝さんのお城に居させてもらってることも、知ってる……。
つまり、この人は私がハクちゃんの、<監視者>のつがいになった人間だって知ってるんだ!
明日の午後にお城に!?
人型のハクちゃんを<監視者>って言ったし、私の事も知ってるなんて……この人、普通の人じゃない。
改めて会うなら、カイユさんや竜帝さん達に相談すべき相手なんじゃないの!?
「え、あのっ! 明日って!? そんな急に言われても無理で……」
「では明日」
私なりに必死で考えた結果、とりあえず明日は断ろうとしたのに。
「え!? ちょっと、待っ……転移!?」
美女は、消えた。
私の答えを聞かずに、居なくなった。
転移したってことは、彼女は術士。
多分、貴族。
そして、術士。
あの人は私を知っていたけれど。
当然ながら、私はあの人を知らない。
……あの人、名乗らなかった。
鈍い私だって、さすがに分かる。
うっかりなんて有り得ない。
絶対、意識的に名前を言わなかったんだ。
自分の名前も、自分が誰であるかも。
ハクちゃんが知ってるから。
だから、言わなかった。