四竜帝の大陸【青の大陸編】
皇女様にも座っていただいて、とりあえずお茶を……なんて暢気に考えていた私の脳に、冷水を通り越して氷の塊がガツンときた。
首って!?
竜帝さん、なんでそんな許可を……この皇女様が逆恨みで何かするんじゃないかって、疑って?
彼女の気持ちを考えると……頬を叩かれるくらい、仕方ないかなと思けど。
ハクちゃんの目の前で、私が叩かれるわけにはいかない。
皇女様だろうと、ハクちゃんは……もしかして、だからなの?
竜騎士団の団長であるカイユさんの存在と言葉で、彼女を牽制することで彼女自身を守る……?
「銀髪に空の瞳の、美しい竜騎士……貴女は“あの”<カイユ>ね」
皇女様は自分を見下ろす長身のカイユさんを澄んだ薄茶の瞳で見上げ、愉快気に目を細めた。
「<青>の衣装に、青の竜騎士団の団長であるカイユ殿までお付けになっていらっしゃるなんて。青の陛下は随分と、つがいの君を気に入っていらっしゃるのね。……竜帝陛下の気に入られたつがいの君の前で首を落とすなんて、貴女には出来るのかしら? この方は平民のご出身でしょうから、きっと耐えられませんわよ?」
「……貴様っ」
うわっ、この皇
女様すごい!
カイユさんに負けてない。
あ、そっか。
世間で<監視者>として怖れられて、しかも悪役魔王様顔のハクちゃんと付き合ってたくらいだから、根性が座ってるっていうか、精神的にも強い女性なんだ……昨日、ハクちゃんに完全無視されてもめげなかったくらいだし。
「カイユ、申し訳ないんだけどお茶を淹れてもらってもいい? あ、あの! どうぞ、こちらにお掛けくださいっ……お、皇女様……」
あぁ、今日も名乗ってくれないから名前が分からないっ、皇女様としか呼べない!
この雰囲気の中で私がいまさらトリィですって名乗るのも微妙だし、あちらからお名前を教えてくれないと訊くに訊けない。
気のせいかもしれないけれど……この皇女様、今日も自分から名前を言う気が無い気がする。
「トリィ様、カイユはお側を離れるわけには……」
「ハクちゃんがいるから、大丈夫! ね、カイユが心配するようなこと、何も起こらないから」
美女2人が作り出す剣呑な空気をなんとかしたくて、そう言ったけれど。
「お構いなく。用事が済み次第、お暇致しますから。邪魔ですから、どいてくださいカイユ殿。つがいの君、わたくしはカイユ殿ではなく、貴女に用があって来たのです」
当の皇女様は空気が悪かろうと雰囲気が重たかろうと、お構いなしだった。
首って!?
竜帝さん、なんでそんな許可を……この皇女様が逆恨みで何かするんじゃないかって、疑って?
彼女の気持ちを考えると……頬を叩かれるくらい、仕方ないかなと思けど。
ハクちゃんの目の前で、私が叩かれるわけにはいかない。
皇女様だろうと、ハクちゃんは……もしかして、だからなの?
竜騎士団の団長であるカイユさんの存在と言葉で、彼女を牽制することで彼女自身を守る……?
「銀髪に空の瞳の、美しい竜騎士……貴女は“あの”<カイユ>ね」
皇女様は自分を見下ろす長身のカイユさんを澄んだ薄茶の瞳で見上げ、愉快気に目を細めた。
「<青>の衣装に、青の竜騎士団の団長であるカイユ殿までお付けになっていらっしゃるなんて。青の陛下は随分と、つがいの君を気に入っていらっしゃるのね。……竜帝陛下の気に入られたつがいの君の前で首を落とすなんて、貴女には出来るのかしら? この方は平民のご出身でしょうから、きっと耐えられませんわよ?」
「……貴様っ」
うわっ、この皇
女様すごい!
カイユさんに負けてない。
あ、そっか。
世間で<監視者>として怖れられて、しかも悪役魔王様顔のハクちゃんと付き合ってたくらいだから、根性が座ってるっていうか、精神的にも強い女性なんだ……昨日、ハクちゃんに完全無視されてもめげなかったくらいだし。
「カイユ、申し訳ないんだけどお茶を淹れてもらってもいい? あ、あの! どうぞ、こちらにお掛けくださいっ……お、皇女様……」
あぁ、今日も名乗ってくれないから名前が分からないっ、皇女様としか呼べない!
この雰囲気の中で私がいまさらトリィですって名乗るのも微妙だし、あちらからお名前を教えてくれないと訊くに訊けない。
気のせいかもしれないけれど……この皇女様、今日も自分から名前を言う気が無い気がする。
「トリィ様、カイユはお側を離れるわけには……」
「ハクちゃんがいるから、大丈夫! ね、カイユが心配するようなこと、何も起こらないから」
美女2人が作り出す剣呑な空気をなんとかしたくて、そう言ったけれど。
「お構いなく。用事が済み次第、お暇致しますから。邪魔ですから、どいてくださいカイユ殿。つがいの君、わたくしはカイユ殿ではなく、貴女に用があって来たのです」
当の皇女様は空気が悪かろうと雰囲気が重たかろうと、お構いなしだった。