リーシュコードにて



「え……これ、栄治が1人で空けちゃったってこと?!

 どうして?!」



 玲子は、化粧室のドアを開けながら、信じられない思いでつぶやいた。



 誠は、それにはこたえずに、背中の栄治を床に降ろすと、

いきなり口移しでミネラルウォーターを大量に飲ませる。



「外に出てろ。見ないでやってくれ」



 言うか早いが、だらしなく開いた口に躊躇なく指を根元まで入れた。



 やがて地獄の底を這いずるような呻きと共に、

酒臭い吐しゃ物が大量にその唇からあふれ出る。



 誠は、自分のダウンジャケットの袖で栄治の口元をぬぐうと、再び口移しで水を飲ませた。



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