リーシュコードにて



「伯母さんによろしくね。

こっちのことは大丈夫だから、ゆっくりしてきて」 



 玲子は、笑顔で誠を送り出したけれど、その肩は微かに震えていた。



 遠のいていく広い背中を見送ってふり返ると、

オフシーズンのがらんとしたフロアは、誠のいない寂しさだけが際立つ。



 潮風に弄られるカモメの声も、誠の不在を嘆いている気がして、玲子はその存在の大きさを改めて思い知らされていた。



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