最後の恋、最高の恋。


「はい、車のキーそのまま持っていたので、それにつけて使ってください」

『そんなとこに、気づいてくれたんだ』


言い換えれば、そんなところまで見ていたんだと言われたような気がして、返事ができなかった。


『ありがとう、このウサギを美月ちゃんだと思って大切にする』

「なっ……!?」


思ってもいなかった坂口さんの返しに、ボッと自分の頬が火照るのが分かった。

それを見ていたお姉ちゃんも、意味深に小さく微笑んでなぜだか親指を立ててウインクをしている。

きっと電話の相手が坂口さんだと分かっているのだろう。

それでも何も言わずにお姉ちゃんは携帯を取り出して何か操作しだしたので、それ以上はからかってくるつもりがないんだと分かってほっとした。


『今日はすごく楽しかった』

「……はい」

『美月ちゃんも楽しかった?』


さっきの相槌でそれは分かっていると思うのに、こうやって聞いてくるのはちゃんと言葉で言わせたいんだと思う。
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