最後の恋、最高の恋。


「私は猫背の柳さんだから、“猫柳”って覚えたよ」


あだ名をつけると同時に名前まで覚えることが出来た一石二鳥ないいネーミングランキング上位に入る、私の傑作ネーミングでもある。

それなのに、私の言葉を聞くなり、


「ぶふっ……!」


彼女は盛大に、遠慮なくふき出した。


「三浦さんっ、可愛いのは顔だけじゃなくて思考まで可愛いかったんですね」


クスクスとはお世辞にも言えない、もはや爆笑に近い笑いながらの言葉に、とても褒められてるとは思えない私は、ただ唖然と目の前で笑う藤田さんを見つめるしかできない。


「猫背の柳さんだから猫柳さん! 凄いです! もう絶対忘れられないです!」


でも、そう言って貰えたから彼女の役には立ててよかったと無理やり納得することにして、お弁当に箸をつける。


「可愛いって褒めてるのに、なんで怒ってるんですか?」


首を傾げる仕草は可愛いけれど、正直さっきの言葉のどこが褒められたのか分からない。
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