最後の恋、最高の恋。


きっと今来たのは坂口さんだ。


私の予想はきっと合っている。
それを裏付けるように階段を昇る足音が聞こえてくるから。


さっきまでの気持ちが嘘のように、体中から血の気が引いていくような感覚に襲われる。

部屋は暖かくて、寒くないはずなのにガタガタと小刻みに自分が震えているのが分かった。



「話が、あるの」


お姉ちゃんの言葉に、正直今はやめて、と言いたかったけど逃げちゃだめだという思いに駆られて、笑みを浮かべながら膝を抱えている腕にギュッと力を込めて震えを止めようとする。


「どうしたの?」


声は震えていない。

笑みを浮かべてお姉ちゃんと目を合わせているのに、お姉ちゃんは悲痛な面持ちを変えようとはしない。




やめてよ。

お姉ちゃんが傷ついたような顔をしないでよ。
お姉ちゃんも悩んでたのかもしれないけど、私だってすごく傷ついたんだよ?


お姉ちゃんが幸せそうにしてくれなくちゃ、余計にみじめなんだってば。

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