最後の恋、最高の恋。
トントン、とドアをノックする音がする。
返事を待たずにドアが開いて、冷たい空気が流れ込んでくるのと一緒に、予想した通り坂口さんが入ってきた。
「ひさしぶり、美月ちゃん」
そのセリフは、3度目だ。
変わらない口調で、変わらない笑みを浮かべて坂口さんは私の前に座ってそう言った。
その笑顔にぎゅっと心臓が締め付けられる。
一週間ぶりに見た彼。
サラサラな黒い髪の毛は、走ってきたのかそれとも仕事終わりで疲れているのか少し乱れている。
カーキのロングコートから覗くスーツのネクタイは緩められていて、変な色気を感じる。
坂口さんの周りだけキラキラ輝いているようにさえ見えてしまう私の瞳。
存在すべてが私を惹きつけて。
好きだ、と馬鹿みたいに身体中が叫び始める。