最後の恋、最高の恋。
目を見て話して、と言われたけど私は逆に視線を落として、私と坂口さんの間にある小さなローテーブルが蛍光灯の光を反射して光っている部分を見つめていた。
せめてもの反抗だった。
「お願いだ、話を聞いてくれなくちゃ何も始まらない」
「何が始まらないんですか? 何も始まってません。 始まる前に終わり……」
自分の言葉を中途半端に途切れさせたのは、言っているうちに坂口さんが言った“始まらない”の指すことが分かったからだ。
だから私は再び自分の顔に笑みを貼り付けた。
「お姉ちゃん優しいから、私にちゃんと説明してから付き合わないと、なんて言ってるんですか? だから私に話をしないと二人の関係が始まらないんですか?」
なんて馬鹿なことを言いかけたんだ。
優しいお姉ちゃんのことだから、そういうのは誰より私が分かっているのに。
私が矢継ぎ早に言葉を発し終わるのを待ってから、坂口さんは「美月ちゃん」とそんな私をたしなめるような口調で私の名前を呼ぶ。
さっきは子供坂口さんだったくせに、今は大人坂口さんだ。