最後の恋、最高の恋。
こうやって私を導いてくれる、学の大きな手が、大好きだ。
「出迎えもしてくれないなんて薄情だな」
その言葉が聞こえて顔を上げると、学は扉を開けて中に入って行くところだった。
学が入って行くということは手をひかれている私ももちろん中に入るっていうことで、しかも学が話しかけたということはその相手がこの部屋にいるっていうことで。
……ってことはその相手ってご両親ってことでしょう!?
待って、私心の準備まだできてないんですけど……!!
焦る私とは裏腹に、部屋の中央へと引っ張られる。
学の大きな背中で誰がいるのかが見えないけれど、でもいる。
「学! まだ予定の時間より早いじゃない! 準備できてないのに!」
そう言ったのは、きっと学のお母さんだろう。
っていうか、もういっぱいいっぱいで顔を上げることすらできないでいる私は、廊下とは違ってフローリングの床の木目を意味もなく見つめる。