最後の恋、最高の恋。
「……面白くない、の?」
『そりゃ面白くないだろ? 美月の魅力に今更気づいたやつが言い寄ってきたって今更なんだよって直接言ってやりたいけど、まだ出張かかりそうなんだよなぁー』
「……うん、電話の学の声もいいけど、やっぱり直接会って学の声、早くいっぱい聞きたいな」
3人がそばにいることも忘れて、つい私も本音を漏らしてしまう。
学の本音は、私の本音を引き出す。
強がってずっと言いたくても我慢していた“早く学に会いたい”という私の本音を。
『そうだな、うん。 俺も美月にいい加減会いたいからちょーっと強硬手段に出ようかな』
「強硬手段?」
『うん、今の商談相手が最後の詰めの変なとこ渋ってるからなかなか帰れないんだけど、美月からそんな可愛いこと言われたら相手なんて関係ないからね。 水曜には帰るよ』
水曜って、あともう3日後だ。
そんな帰るって言いきっちゃっていいの? っていうか勝手に決めて帰れるものなの?
突然の学の宣言に呆気にとられる私に代わって、とうとう我慢できないとばかりにふき出したのはもちろんそばで学の言葉を一語一句聞き逃すまいと聞き耳を立てていた3人で、こんな近くで笑ってしまったものだから当然その笑い声は学にも聞こえてしまう。