最後の恋、最高の恋。
「それくらい、あの子恋愛に傷ついてるのよ」
「それも分かってる。 ……多分、お前より」
意味深な言葉に、「どういうことよ?」と突っかかるけど、「そういうことだ」とお姉ちゃんをかわした坂口さんはきっと、あの公園で私が言った本当の別れの理由を知ってるからこそ、そんなことを言ったんだと思う。
そして、それをはっきりと言わなかったのは、自惚れかもしれないけど、私のため。
私がお姉ちゃんに傷ついてほしくないからと、ずっとつき続けた嘘を、守ろうとしてくれてる。
そして、そんな理由でフラれ続けている自分が情けなくて、本当のことが言えないでいる私のことも分かってくれているんだろう。
それに気づけた瞬間、坂口さんの想いが本当の意味で伝わってきて、自分の鼓動が速くなった。
とくんとくんと高鳴る鼓動が、じわじわと身体中の血液を温めていく。