最後の恋、最高の恋。


なに当たり前のように出かけようとしてるんだろう。


しかも言われるがままにおしゃれもしちゃってるし、一体私は何がしたいんだ。


そう思う自分がいるのもわかってるけど、坂口さんと出かけるのを楽しみにしてる自分がどこかにいるのもわかってる。


それなのに、私があの人のことをどう思っているのか、そこだけがはっきりしない。



「イイ人、だとは思ってるんだよなー」


一人呟きながら、本日二度目の階段をゆっくりと降りる。

そうっとリビングのドアを少しだけ開けて中の様子を伺ってみると、二人はソファに座っていた。

ソファで向かい合っているお姉ちゃんと坂口さん。

なにやら真剣な顔をしながら無言で向かい合ってると思ったら、お姉ちゃんが口火を切った。


「美月を傷つけたらただじゃおかないからね」

「わかってる、何度も言うなよ。 耳にタコができそうだ」


じとっと睨みつけるように坂口さんを見据えているお姉ちゃんに、心底ウンザリした様子の坂口さん。

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