最後の恋、最高の恋。

そんなことすら言えなくて、私は突っ伏した顔を上げることもできないままただギュッと拳を握りしめる。


「お前には春陽が理想かもしれないけど、俺は美月ちゃんが理想の女だ」


聞こえたセリフに、心臓が止まるかと思った。

てっきり、“春陽と比べるな”とか“春陽より美月ちゃんの方が可愛い”とか、そういう言葉が出てくると思ったのに、全然違った。


本当に坂口さんの中で、私とお姉ちゃんは別物なんだ。

比べるんじゃなくて、ちゃんと私を私として見てくれてる。


それが嬉しくて、嬉しくて、自分の意志とは関係なくボロボロと涙が溢れた。

しまった、顔をあげられない。


「それに、春陽は俺の義理の姉になる予定だから」

「……え? ってことはつまり何? この子って春陽ちゃんの妹ちゃん?」

「そう、可愛いだろう?」


クマさんと坂口さんが話しているのを聞きながら、どうやってこの涙を拭いて顔を上げようかと思案していると、腕と顔の隙間に青のハンカチがねじ込まれた。

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