最後の恋、最高の恋。
「誠人、」
両手で握りしめた宮田さんの両手をうっとりと見つめる私は、急に地を這うような低い声が聞こえた方を首だけ動かして恐る恐る見上げる。
私の左にいた坂口さんが、熊でも殺せそうな鋭い目つきで私と宮田さんの手元を睨みつけている。
「違うだろう!? どう見ても俺が掴んでるんじゃないだろうが!!」
あわあわと目に見えて狼狽する宮田さんは、面白いほど慌てている。
慌ててる今なら、少し厚かましいと思う頼みにも頷いてくれそうな気がして、
「レースの作り方教えてくれませんか?」
「教える! 教えるから手を離してくれ! ガっくんに目で殺されるっ!」
淡い期待を持ちながらお願いしたら思った通りあっさり承諾してくれて、その答えにホクホクしながら言われたとおりに手を離すと、その瞬間に両手が痛いくらいの強い力で坂口さんにぎゅっと握られた。
「消毒」
その一言を聞いて、さっきの二人のやり取りがどういう意味だったのかを瞬時に理解した私は、顔が瞬間沸騰した。