最後の恋、最高の恋。


驚いて目を見開いている私がおかしいのか、クスクスと上品に笑うお姉さん。



「ここのテナントに出店したの最近だから、一応軌道になるまで店員として働いてるのよ」


なんでもないことのようににっこりと笑って言ってるけど、そういうことができる社長さんって素晴らしいと思う。


雑誌に取り上げられるくらい人気のあるブランドで、全国に何店舗もあるはずなのに、新しく出店した店舗にこうやって訪れるのは、この仕事が好きでプライドを持っているんだと簡単に推し量れる。


こうやって、どんな些細なことでも全力投球で、商品を心から愛して、社員や消費者のとても身近にいるということが、どれだけ大変なことなのか。


それを考えるだけでも気が遠くなりそうなのに、こうやってにこにこ元気に楽しそうに接客をしているなんて。


そういう努力ができるからこそ、輝いた素敵な女性なんだろう。
だからこそ、坂口さんの隣に立っても遜色がないのだ。




……きっとお姉ちゃんも私の知らないところで、すごい努力をしているんだ。

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