聖夜の奇跡
しばらくコーヒーを飲みながらテレビを見ていると、異を決したようにカップをテーブルに置き、拓人は美希を見つめた。
「な、何よ。なんか、顔に付いてるの?」
美希は自分もカップをテーブルに置き、ペタペタと両手で顔をさする。
すると、その両手が拓人の手に包み込まれた。
真剣な表情で自分を見つめている拓人に対し、美希は動揺が隠せない。
「ど、どうしたのよ」
「俺、美希が好きだ」
緊張の中、発された言葉は想像もしていなかったものだった。
放心している美希に対し、拓人は続けた。
「彼女にフラれたのは、俺自信が自分の本当の気持ちに気付いたからだ。彼女は前から気付いていて、知らないふりをしていたらしい。本当に悪いことしたよ。でも、自分の気持ちに嘘はつけない。彼女ももし俺が気づくことがあれば、その時は別れようと決めていたらしい。」