千年の追憶【完】
水菊は俺達を見つけて、少し驚いてからため息をついた。


川で水を汲んでいる水菊の所まで、俺達が足を伸ばしたからだ。


屋敷から少し離れた所にある、清流。


まさか、こんな所にまで俺達が来るなんて、水菊は思っていなかったのだろう。


「水菊。休憩にしないか?
俺達は休憩中だったんだ。
なぁ羽琉?」


「…。はい。」


澄ました顔で羽琉が答えた。


「本当は?」


水菊が羽琉の顔を覗き込む。


羽琉は目を反らして呟いた。


「薪割りの途中だった…。」


まずい!


「い…いいじゃないか…たまには!
俺が許す。」


俺は、慌てて取り繕った。


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