千年の追憶【完】
そんな大事な水菊が、居なくなった。


この世には、こんな悲しみがあるのか。


辰吉が居なくなった時とは、全然違う。


俺も、水菊の後を追おうかとさえ考えた。


何も手に着かず、ただ時だけが流れていく。


そんな俺の水菊を想う、念にも似た強い気持ちに同調して、アイツが現れた。


アイツ。


聖月という名の鬼。


見入られる程に、美しい鬼だった。


俺は聖月の魅惑の言葉を受け入れた。


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