千年の追憶【完】
「居留守でございますか、早時様?
雪路には通用しませんわよ。」


雪路がひょっこり障子の陰から顔を出した。


満面の笑みを浮かべている。


「水菊、ご苦労だったわね。
下がっていいわ。」


雪路が面倒くさそうに水菊に命令した。


俺は、そんな雪路に腹がたった。


「水菊。下がらなくていい。
俺の隣に来てくれ。」


俺はこれ見よがしに水菊に微笑んで声をかけた。


「え?早時様…?
あの…それは…。」


「それは駄目です。」


躊躇した水菊が答えるより早く、雪路がキッパリ言った。

< 66 / 203 >

この作品をシェア

pagetop