千年の追憶【完】
水菊は今頃、何をしているんだろう。


また羽琉と楽しそうに、話をしているんだろうか。


雪路が隣に居ても、頭の中はそんな妄想でいっぱいだった。


「…様。早時様…?
お気分が優れないようですが。」


「あ?あぁ…。すまない。
聞いていなかった。」


「水菊の事です。」


「…?水菊が何か?」


雪路は憮然とした表情で話を再開した。


「早時様は水菊を、特別に扱い過ぎではありませんの?
何かと言えば“水菊”“水菊”とおっしゃって。
雪路は気に入りません。」


「雪路の言う通りだよ。
水菊は俺にとって、特別なんだ。」


明らかに面白くないといった口調で、雪路は続けた。


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