犬と猫…ときどき、君

次の日、目が覚めて確認したスマホには、篠崎君からのメッセージ通知が表示されていた。

【昨日は大丈夫だった? 俺スゲー余計なこといっぱい言っちゃったんじゃないかと思って……。いろいろ考え込ませてたらごめん】

篠崎君らしいメッセージに、心が少しだけ軽くなる。

【大丈夫だよ。私こそ、いろいろごめんね】

そうメッセージを返信して、シャワーを浴びた私は、いつものように服を着て、お化粧をして、ひとりぼっちの病院に向かう。

通勤途中、花の香りが混ざり始めた空気に、胸が少しだけ痛くなった。

――春希はいつ日本を発つのだろう。

わざと聞かないようにしたのに、それもやっぱり気になってしまう。

春希は本当に留学してしまうのかな?

そもそも、留学がしたいのかな?

もしもそれが本心ではなくて、篠崎君が言っていた通り“逃げ”なのだとしたら……。

私にできることって、何もないのかな。

昨日の夜から、それは考えていたこと。

春希は辞める時に、リースの契約も閉院と同時に切れると言っていた。

もしも春希がここに残りたいと思っていたとしても、機械がないと診療なんてできるはずがない。

「ん〜……」

絶対に足りるはずなんかないのに、自分の貯金の額を思い出してみたりして。

そしてまた春希のことを考えている自分にハッとして、

「昨日反省したばっかりなのに……」

そんな言葉を口にする。

< 584 / 651 >

この作品をシェア

pagetop