彼氏の余命を知ってる彼女。


「……名前…は…?」


勝手に自分の口から言葉が出てしまった。答えを聞きたくない質問を──。


…本当は聞きたくない。聞きたくないけど…聞かなくてはいけないような気がするんだ──。


「聞きたくないのではないのか」


「…聞きたくないです。でも、私がここに来ているって事は誰かが私に授けた定めだと思うんです…。だから…」


溢れ出す涙を拭いながら私は死神に言う。


そんな私を見て、死神が私から本に目線を移し、静かに口を開いた。


「男の名は────」




    
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