彼氏の余命を知ってる彼女。
死神の話を聞いて胸を強く打たれた様な感じがした。
胸の奥深くでズゥンと響くような。
「…そして女は続けてこう言った。
『その珠はね、“御守り”って言うの。これを持っていると人間は強くなれるんだよ。
…実は彼とお揃いの物なの。だけど死神さんにあげる。
きっと死神さんには必要ないと思うから、もし、またここに人間が来て、私と同じ境遇の人が来たら渡して。それは人間を強くする“御守り”だから。
──死神さん、さようなら、ありがとう』
女はそう言って笑みを浮かべながら現実へ戻って行った。
女が生きているのか帰らぬ人になったのかは、我の担当ではなくわからぬまま。だが、女の約束はきちんと守った」
死神はそう言いながら私の目を見る。
最後の言葉は私に言ってるのではなく、その女の人に言っているような感じで──。