彼氏の余命を知ってる彼女。



嗚咽が止まり、落ち着いた所で、私は涙を拭きさっきの死神の質問に答える。


「…何故泣くかって…?それはね、大切な人が自分の周りから居なくなるからだよ。…それはずっと昔からわかっていることでも…」


「…人間というものはそういうものか。長い間関わりがあるが、理解できないことが色々ある」


死神は静かにそう呟いて、鋭い瞳を伏せた。


長い睫毛が死神の美貌を引き出しているように見える。


そんな子どもみたいになにも知らない死神に私は口調を柔らかくして話す。


「…さっき、あなたが言ってたスギヤヒカルってね……、私の彼氏なんだ」


「彼氏…とは?」


「うーんと、私に一番近い人…かな」



    





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