彼氏の余命を知ってる彼女。


私はその場に立ち上がり、コートの裾で涙を拭い、個室から出た。


個室から出るとそこには、眉毛を垂れ下げているアズキの姿があった。


「ヒナ…っ、目が真っ赤…」


「…へへ。ごめんね、心配かけて。でももう大丈夫」


アズキを安心させようと、へらっとした笑顔を見せる。


…アズキにも誰にも相談できない…。ごめんね、アズキ…。ありがとう。


「そう…?本当に?」


「本当!…昨日から便秘気味で、さっきやっと便意が来たから走ったの!」


手を洗い、トイレから出て笑いながらアズキにそう説明する。


「それならそうと早く言ってよねー!心配したじゃん!」


「ごめんごめん。…ありがとう」


アズキ…、心配してくれてありがとうね。


    
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