彼氏の余命を知ってる彼女。


まだ嗚咽が収まらない私は、アズキの声に何も反応できない。


アズキの足音がこちらに近づき、私の入っている個室の前で止まる。


「…ヒナ、何かあったなら相談して…?ヒカルも心配してたよ?どうしたの…、ヒカルから逃げるヒナを見たのは初めてだよ」


…私も、今朝の私の元へ走ってくるヒカルを待ちたかった。


でも、ヒカルを見て現実を突き付けられた。


あの時、死神が言っていたのは、この事だったんだ──。


『目覚めた時に君は現実を突きつけられるかもしれない。我々は何もできないが、しっかり受け止めて短い人生を歩んでくれ』


しっかり受け止めて──…。



    


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