彼氏の余命を知ってる彼女。


朝のホームルームが終わると、一直線に私のところへ来たヒカル。


「ヒナ、具合大丈夫か?」


心配そうに眉を下げ、私の目を見ながらヒカルはそう言う。


「う、うん」


そんなヒカルに対して私は目線を逸らしながら口を開く。


私の態度が気に食わなかったのか、ヒカルは無理矢理私の視界に入ってきた。


「…何見てんの?…もしかしてなんか怒ってる?」


「…怒ってなんかな…っ」


今日、初めて近くでヒカルと目を合わせてヒカルの目を見た瞬間、言葉が詰まった。


──まるで泣いた後の様に目を真っ赤に腫らしていたから。



    


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