≡ヴァニティケース≡
やがて満ち潮と引き潮の間隔が短くなる。指の動き、浅い吐息。部屋に充満する女の匂いは官能の麻薬か。ことさらに荒々しく貫かれる自分の姿を想像した。
「あ……ふっ……」
男の釘に見立てた指が艶やかな茂みを掻き分ける。露に光る花弁に楔を穿つ。その楔を離すまいと、柔らかく抗っていた襞が収縮を始める。
背中に走った電流が体を仰け反らせ、顎も大きくせり上がり、そして足の指はきつく虚空を握り締めた。その後は何を叫んだかも解らない。浅い無意識の中で果てるまで、ものの2分とは掛からなかっただろう。
暫くの間規則的に痙攣を繰り返していた白い体躯から、余韻が静かに遠ざかっていった。
「はぁぁ……あ」
隆二ほどの快楽を与えてくれる男が他に居るとは思えない。差し当たっての憂いが晴れた今、少しの虚しさと少なからずの後ろめたさが美鈴の胸を駆け抜ける。
「……はぁっ……」
【個】としての寂しさを痛感させられた夜だった。