≡ヴァニティケース≡
「なんだって? お前はこの俺に死ねとでも言うのか? 俺がストレスに弱いのを知ってて、それでも職を探せとヌかしやがるんだな?」
隆二は声を荒げ、美鈴を詰った。
冷静になって考えれてみれば、これまでの態度も決して良いものだったとは言えない。乱暴とまではいかなくとも、横暴であったことに間違いはなかった。
だが、少なくとも激しい怒りの感情をぶつけられたことがなかった美鈴は、男の怒りが、そして謂れのない叱責が、どれ程女の心に恐怖を与えるものかを初めて知ることになる。
彼女はそんな隆二にすっかり怯えてしまい、言葉がまともに口を突いて出てこなかった。
「そ、そんな。私が貴方に死ねなんて……そんな酷い事を言う訳がないじゃない。ただ、もう貯金が残り少ないの」
「うるせえな。じゃあ通帳見せてみろ」
隆二はソファーに寝そべってタバコに火を着けた。