≡ヴァニティケース≡

 死にたくない。


────だから、どうかやめないで。そのまま続けて……────


 無残に開かれた花弁が恐怖におののき、とろりと一筋の涙を流した。


 その時、ドカドカと喧しい靴音を響かせて、上階に人がなだれ込んでくる。


おぼろげになっていた美鈴の意識が侵入者の気配を捉えた。



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