≡ヴァニティケース≡

「ほんまはこの子、うちに似て身体の弱い子やないか思うとりました。でもこないに大きゅうなって……」


 そう言って微笑む鈴奈に、美治は目を細めずにはいられない。子どもはすくすくと育ち、夫婦の愛情もより深まった。今後もこの気持ちが変わることはないだろう。


「そうだね。でも君だって出会った頃と比べたら見違えるように元気になった。あの頃は食も細かったからなあ」


「いややわ、今が大喰らいみたいやないですか……ねえ、ミレイちゃん」


 鈴奈はモミジのような愛児の手のひらに自分の指を添え、


「ほら、アンヨして。右……左」


 頬をほんのりと紅く染めて恥らっている。視線を逸らす仕草が美しい。



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