桜ちる
其の日は、帰り道に見つけたレストランで夕食をした。

「美味しくなかったというのは、表現力でカバーできないね」

「まずいと言う方が適切なんでしょう」

「奢ってもらって言えないことだよ」

「でも相沢さんの責任ではないから」

「そうでもないよ。デートのときの選択は男の責任で、
下調べをして相手に 喜んで貰うのが楽しいのだから」

「始めてきた場所で」

「そうだよ。仕事で接待だと評価が下がるね」

「私は相沢さんの評価を下げてませんから」

其の日を境に相沢と櫻子の間が変った。
相沢は観音を見てからであった。
櫻子は相沢の本当の優しさに気が付いたからであった。
それを言うと、君が優しいからだと言った。
人は自ずと相手に合わせるものだと言った。
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