桜ちる
風の行方
次の週は毒殺殺人事件が起こり
相沢も信二も行けないと短い電話で終わった。

事件は、櫻子の母の年齢であった。
五十五歳。
貿易商で東灘区に住んでいた。

テレビはどのチャンネルもそのことばかりであった。
信二の姿は見ることも無くなった。
泊り込みなのだろうと思った。

櫻子は銀行を辞めた。
丁度三年間勤めた。
寿退社でもなく、転職でもない櫻子にどう言えば良いのか
廻りも困っていた。

「羨ましい。このご時世に花嫁修業に邁進するのでしょう」

「半年ぐらいのんびりして、又職捜しをすればよいわ」
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