桜ちる
残照

相沢はかなりの量の土産を買い込んできていた。

「凄い量ね」

「あのあたりはみんな親戚のようなものらしい」

昌子は別々に暮らすようになって
十年ぐらい毎月手紙を書いてきていたので、
村の様子がよく解り五回ほどは訪ねてきていたと言った。
ぱったり手紙が来なくなった頃の相沢は
警察大学を卒業して本格的に仕事に就いた為に忙しくなり
転勤、結婚、又転勤を繰り返し挙句に離婚と忙しい日々で
漸く自分で決められる立場になったら
昌子が行方不明の知らせだった。
妹の事を気にしながら、何も出来なかったと言った。
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