ジェフティ 約束
 ラルフは迫ってきたシェシルの背中を避けようと、慌てて右に手綱を引っ張った。
 馬が飛び出してきた人間を避けようと前足を蹴り上げる。ラルフの体は宙に放り投げられたように馬を離れ、地面にたたきつけられた。背中から地面へと落下しうつ伏せに倒れこんで、息が詰まって動けなくなる。シェシルの怒鳴り声も、耳がキーンと痛んでとても遠くに聞こえ、何を言っているのか理解できない。

 シェシルと対峙している男たちの黒い甲冑には、彷徨いの森の外でシェシルが首をはねた兵士と同じ紋章が入っていた。テルテオ村を焼き払ったノベリア軍の兵士たちだ。
 きっとまだ逃げ出した村人を始末しようと、周囲をうろついていたに違いない。
「馬鹿!なんで来たんだ!!」
 シェシルは剣についた血のりを振り払いながら、ラルフに駆け寄りその襟首を掴んでぐいっと立たせた。突然の馬の出現に驚いた兵士たちが怯み、一歩後ろに下がる。
< 157 / 529 >

この作品をシェア

pagetop